立川談春 独演会

2010年12月26日(日) NHK大阪ホール。

2年前の年末、フェスティバルホールの2000人以上の観客を
感動の渦に巻き込んだ「芝浜」を引っさげて、年末の大阪に
またまたやってきた談春。
前日の25日は追加公演を行っていたようだが、
NHK大阪ホールも落語を聞くには大きすぎる小屋で、
客に対して何とか伝えようとするし、客も談春に対して何とか
返そうとするも、間の何かが邪魔をするのか、
独演会なのにアウェイ感を感じたそうな。逆に25日の会を見てみたかった。

最初のマクラは、海老蔵の暴力事件から。
あんな事件を起こすのは、歌舞伎界ではなくホントは落語家の役割なのに
今の落語会は人材不足と笑わせてくれる。
一席目は、「長短」。
気の長ーい長さんは、今テレビに出ずっぱりの戦場カメラマンに似せてたけど、
確かに似てるなあ。こんなネタで入ってくるとは思わなかった。

二席目は、初めて聞く「桑名船」。
桑名へ向かう船が鮫の大群に囲まれて立ち往生する。
船頭の話だと誰か一人を生贄に差し出さないと、
全員死んでしまうという。
各人の持ち物を海に落として、すーっと沈んだとするとその人が生贄だという。

ある男が生贄に選ばれるが、その男は講釈師だった。
死ぬ前に講談を聞いて欲しいと講談を始める。
ネタは色々な講談の名場面を組み合わせた、総合講談!
正直それぞれがどんな講談か分からないが、赤穂浪士の名前が
出たりすると笑いがおきたりする。

講談が終わる頃には鮫がいなくなっており、
講釈師の風で扇子でひざを叩くリズムが、かまぼこを作る音に
似ていたので、鮫が逃げていったというサゲ。

休憩後はマクラなく、「芝浜」へ。
勝五郎が財布を拾う場面はほとんどカット。
奥さんが夢を見ただけで、真面目に働いてくれーと懇願するシーンは、
ここまで言わないと絶対に夢と思わせられないという
魂がこもっていた。

この後、勝五郎は酒をぴたっとやめ、真面目に棒手振りの仕事に
打ち込んでゆくのだが、談春自身の言葉で人間は簡単に簡単に変わらないよ、
と途中休憩を入れてくれた。ここで涙を引っ込める。

この後はクライマックスへ。
借金を返し、小さいながらも店を構え、3年後に幸せな大晦日を迎えるが、
3年前に拾った財布は夢ではなかったと奥さんは切り出す。
拾ったお金をネコババすると、牢屋に入れられるので、
一緒に暮らして行きたいのであれば自分が信じて
本気で夢を見たことにしろ、と説得されたと明らかにする。
ここで3年前の勝五郎へ夢を見たと話をした時の奥さんの気持ちが
わかり、またまた涙が・・・。

年末に聞くにはいい話だった。
終わってから飲んだ日本酒が美味しかった。

コメント

てれっとテレキャス さんの投稿…
小生、落語を生で聞いたことがありません。是非、行ってみたいと思うのですが、なかなかままなりません。

すごい会だったみたいですね。文面からもひしひしと伝わってきました。

是非、聴きに行きたい!
貧家ピー / hynkapii さんの投稿…
とても良い会でした。

周りの友だちでも一度見てみたいので、一度一緒に行きましょういう声が最近多くなってきました。

日本に帰国されたら一度足を運んで見て下さい。