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2014/05/18

走る 箱根駅伝 5区・6区


箱根行きの目的として、歌麿の「深川の雪」と共に、箱根駅伝の5区・6区を
一度見てみたいということがあった。
単行本しか持ってなかったので、新たに買った「風が強く吹いている」の文庫本を鞄に詰め込んで。

1日目は小湧谷からバスを乗り換えて、大湧谷に行くことにしたので、
箱根湯本駅から箱根登山バスに乗り込んだ。

5区のコースとしては、箱根湯本駅はすでに登り始めている。
川沿いの山道をエンジンが唸りを上げてバスが登って行く。

函嶺洞門、大平台のヘヤピンカーブ、宮ノ下 富士屋ホテルと、お馴染みのポイントを
通過し、渋滞することもなく小湧谷バス停に到着。


小湧園前 5区 14.1km地点

箱根湯本駅前から、約500mの高低差、
テレビで見てても感じることだが、よくこんな山道を走るもんだ。
小湧園前の坂道を歩くだけでも、前傾姿勢になってしまう。

ロードバイクで登っている人が結構いたけど、ツール・ド・フランスの山岳ステージを
彷彿とさせる風景だった。

5区のコースはこの後、恵明学園前、国道1号最高地点(標高 878m)、箱根神社の大鳥居を
くぐり、芦ノ湖のゴールに到着する。 

ゴール!


現在の5区 23.4kmに変更後の区間記録は、
東洋大 柏原選手 1時間16分39秒 (2012年 第88回大会)。 


芦ノ湖湖畔のホテルに宿泊し、2日目は岡田美術館がある小湧谷まで
箱根登山バスで登って下る。


6区のスタート風景
箱根関所南の交差点を左に折れ
まず国道1号最高地点まで登る

箱根関所南から1号線に出た所
6区のランナーが見る景色
登り坂がきついという事は、下り坂も急ということは自明の理。
しかし、国道1号最高地点を過ぎると、落ちていくかというような急な坂。
積雪してたり、凍ってたら危険すぎる。


今回バスで登り下りしただけだが、小説「風が強く吹いている」の一番の見せ場が、
9区→10区の走→ハイジへの襷リレーや10区ゴールではなく、
実は6区だったのではないかと強く感じた。

5区ランナー・神童は体調を崩し、高熱・脱水症状でフラフラになりながらもタスキはつないだが、
18位に順位を落とした復路。

6区は、学生時代に司法試験に合格した秀才・ユキ。
神童とは違い、ゾーンに入った走りで、雪が積もっている中で、区間2位の走りを見せる。

ちょっと長いけれど、下記引用。

『 道端の杉の枝が、真っ白な雪を載せて重そうにしなっている。
幹は黒く濡れ、山は一晩のうちに、単色のうつくしい世界に変わっていた。
それらの風景は目の端に映ったとたんに、後方へ流れる。映画のフィルムよりも速く、
なめらかに。

そうか、これはふだん、走が体感している世界だ。ユキは胸が詰まる思いがした。
走、おまえはずいぶん、さびしい場所にいるんだね。風の音がうるさいほどに耳もとで鳴り、
あらゆる気色が一瞬で過ぎ去っていく。もう二度と走りをやめたくないと思うほど心地いいけれど、
たった一人で味わうしかない世界に。
走が、ときに行き過ぎたと思えるほど走りに没頭する理由を、ユキははじめて理解できた気がした。
こんな速度で走ることを許されたら、たしかに中毒のように耽溺してしまう。
もっと速く、もっとうつくしい瞬間の世界を見てみたい、と。それはたぶん、永遠にも似た
一瞬の体感なのだ。だが、危うすぎる。生身の肉体で挑むにはあまりにも過酷な、
うつくしすぎる世界だ。(中略)

だけど最初で最後に、このスピードを味わえてよかった。山道を疾走しながら、
ユキはうっすらと笑みを浮かべた。走、あまり遠すぎるところへ行くな。
おまえが目指しているのはたしかにうつくしい場所だけれど、さびしくて静かだ。
生きた人間には、ふさわしくないほどに。
(風が強く吹いている 新潮文庫 P.529 ~ P.530) 』


高校の陸上部時代、監督や仲間に、走ること・価値観を理解されず、一度は陸上を諦めた走。
ハイジだけが、走の過去・気持ちをわかっていたのかと思っていたが、
箱根の山下りで、ユキは走とシンクロしていたんだ。

しかも、行きすぎるな、帰ってこい、とまで。

新潮文庫の解説で、最相葉月がこう書いている。

『人には、なんのためとか、誰のためといった目的の定かでない行為を無性に必要と
するときがある。』

箱根に行って見て、その通りだと感じた。
こんな坂を何故登るんだという問いは、意味がなく、必要ない。

速くて、強くて、美しいランナーの姿を見ていきたい。


6区→7区 小田原中継所
6区 20.8km 
区間記録 58分11秒 
駒澤大 千葉選手 2011年 87回大会 


2014/05/06

深川の雪@箱根 岡田美術館

5月5日子どもの日、箱根 岡田美術館に出かけた。

喜多川歌麿の肉筆画「雪月花」三部作の「深川の雪」が、60数年ぶりに再発見され、
岡田美術館で6月30日まで展示中。
http://www.okada-museum.com/exhibition/

ゴールデンウィーク真っ只中ではあるが、見逃したくなかったので、
箱根初訪問となった。


2013年10月に小涌谷に開館した
岡田美術館

携帯電話や飲み物はロッカーに預け、空港のセキュリティーチェック張りに
X線チェックを受け入場、展示されている2階へ。

薄暗く広い2F 陶磁器展示室に足を踏み入れると、「深川の雪」が目に飛び込んでくる。
遠くからでもわかる大きさと色鮮やかさ。

縦 199cm  横 341cm 、浮世絵でこんなに大きいのは初めて見た。
誰が発注し、どこに飾ろうとしたんだろう。

深川の料亭、総勢27名の芸者、女中が描かれており、
着物の柄・色彩の鮮やかさは、最近描かれたと言われても信じるくらいだ。

猫にじゃれられて振り返る芸者、手鏡で紅をチェックする芸者、拳で遊ぶ芸者たち、
夜具や料理を運ぶ女中など、どこを見ようか目移りしてしまう。

歌麿晩年の大作、良い作品を見ることができた。



足湯カフェから、福井江太郎氏の壁画
「風・刻(かぜ・とき」を。


若冲や琳派絵師の作品、中国・韓国の陶磁器など、他にも見るべき作品に溢れていた
岡田美術館。

入場料が、2,800円とお高めだが、その価値はありました。


2009/11/01

映画 「風が強く吹いている」



映画の日の今日、昨日から公開となった「風が強く吹いている」を鑑賞。
小説・舞台に続いて、映画はどうなのか?



本   http://hynkapi.blogspot.com/2008/06/blog-post_03.html
舞台  http://hynkapi.blogspot.com/2009/02/blog-post_07.html



2時間28分と長めだったが、長編小説をくまなく描ききるには短すぎる。
素人集団が箱根駅伝を目指して、出場してしまうので、
他の2つと比べて現実的な演出になっていた。

ハイジとカケル以外のメンバーは、ちょっと無理でしょ、というところからスタートするのに比べて、映画では漫画大好きの王子以外は結構走ることができるというストーリー。
一人を何とかできれば、箱根出場も夢ではないというのは、時間がないから仕方がないか。

であれば、10区 ハイジのラスト1kmの走りはどうなのか?
あれで東体大との差が縮まるってのは、一番現実的ではない気がするなあ。

カケル役の林遣都は、走るフォームが美しい。
スポーツ物(ダイブ、バッテリーなど)の映画に出演しているが、
いい体している。

小説・舞台・映画に共通して思ったこと。
・ハイジのキャラがほぼ同じ。小説を読んで頭の中に思い浮かべたキャラクターとも同じだ。
映画のハイジが一番人間くさく、売られたけんかを買ったりしてたけど。

・一番の見所は、9区→10区 鶴見中継所の襷リレーだ。そう決めた。

友情出演の和久井映見の電話シーンが一番涙を誘っていた。
ああいう母の言葉は、みんな弱いよなあ。

2009/02/07

舞台 「風が強く吹いている」


ウェルシティ大阪厚生年金会館 2月6日 19:00~22:00


言わずもがなであるが、三浦しをん原作「風が強く吹いている」の舞台化。今年秋に映画も公開予定。

まあ、映画はわかるが、箱根駅伝のシーンはどうするんだ!?という点が
一番気がかりで見に行った。

なーるほど。こう来たのか。考えたものだなあ。
室内で駅伝を表現する、人間の想像力に感嘆。

全体に原作よりも「走る意味は?」に重きが置かれ、
アオタケ荘の人間関係の表現に力が入れられていた。
実際に演じた俳優たちは、各キャラクターにぴったりだった。

走を演じた和田正人は箱根駅伝経験者。フォームがきれいだった。

2009/01/10

風が強く吹いていた

東洋大学に。

1月2日・3日に行なわれた第85回箱根駅伝は、東洋大学の初優勝で幕を閉じた。
また、今年もほとんど見てしまった。
終わって10日が経ったが、そのまま三浦しをんの「風が強く吹いている」も
再度読み終わった所だ。

下馬評では、早大・駒大が優勝候補で、東洋大学は昨年12月のわいせつ事件での
部員逮捕に揺れた直後で、優勝候補には名を連ねていなかったはずだ。

東洋大学を優勝に導いた理由は3点あった。

一番目は何と言っても、5区柏原の走りだ。
知らなかっただけだが、全日本では1区で3位、出雲では早大・竹澤を抑えて2区を1位で
走っており、注目の一年生ではあったわけだ。

佐藤監督代行の指示を無視しての快走で、区間新記録と往路優勝をもたらした。
この快走が復路のメンバーに乗り移って普段の実力を出すことが出来たのではないか。
これが2つ目の理由。

駒大が往路で大きく遅れてしまい、結局シード落ちしたが、これで早大に余裕が出てしまった。
気の緩みと言っていいだろう。
6区・7区で2位以下に差をつける作戦だったようだが、実力を出せなかった。
東洋大学はリクルートと指導がうまいと感じた。
決してフォームはきれいではないが、選手が一番力を出せるようにフォーム強制など
せずに自然に走らせているのではないか。単なる想像だが、

最後の理由は、作戦だ。
9区大津は2位早大・朝日と45秒差で首位で走り始めたが、 顔色やフォームのバランスも悪く、
大ブレーキでこの区間での首位交代を予感。解説の瀬古もそう言っていた。
早大・朝日はハイペースで入って、5秒差まで縮める。

ここで東洋大・大津は一気にペースを上げて、逆に一気に早大との差を広げた。
レース後のインタビューで、近づかせてから離せば、精神的ダメージを与えられると
思っていたとの佐藤監督代行のコメント。入りの5kmを下りながら15分30秒という
超スローペースを指示し、選手も見事に走りきった。

結果的に、鶴見中継所で早大・朝日に1分26秒の差をつけ勝負あり。

往路で強い選手を補欠に回し、復路の当日エントリー変更でぶつけるという
作戦はあるが、ここまで強い攻めの作戦を駅伝で見たのは初めてだ。

2区・日大ホグスの20人抜きなど、見所の多い箱根だった。