柳家三三 独演会 10月14日 @ABCホール


柳家三三 独演会を観に、ABCホールまで出かけた。
かなりの雨の中だったが、300席ある客席はほぼ満員だった。

三三を聞くのは、2008年11月に上野・鈴本演芸場依頼、3年ぶり。
http://hynkapi.blogspot.com/2008/11/blog-post_5922.html

前回は寄席だったので、15分程度と短かったが、
昨日の会では、「三枚起請」と「文七元結」の大ネタ2席をぶつけてきた。




「三枚起請」

吉原の女郎 喜瀬川にだまされた3人の男の話。

起請
自分の言動に偽りのないことや約束に違背しないことを、
神仏に誓って書き記すこと。またその文書。(goo辞書)

棟梁が通りがかった亥のさんを呼び止め、近頃博打をしているのか、
と問い詰めると、吉原にいい女が出来て、来年3月の年季明けに
夫婦になろうと約束して、起請をもらっていると自慢する。

その起請を見て青ざめる棟梁。
棟梁も喜瀬川から起請をもらっていた。

その騒ぎを聞きつけてやってきた清公も同様に起請をもっていた。

喜瀬川が吉原で商売ができないように、3人で喜瀬川を追い詰めるべく
吉原に出向き喜瀬川と対決する。

女郎は騙すのが仕事、身体には金が掛かってるんだから
殴る蹴るしたかったら、身請けしてからやりな、と啖呵を切る喜瀬川。

騙すなら口で騙せ、起請を破るようなことをすると、熊野で神の使いのカラスが3羽
死ぬ(地獄に落ちる)と言うんだ、と棟梁。

「ああ殺してやる、世界中のカラスを殺してやる」と言う喜瀬川に、
そんなにカラスを殺してどうしたいんだ、と聞くと

三千世界のカラスを殺し主と朝寝がしてみたい、というサゲ。

マクラで、江戸はカラスが多く、餌をねだるために朝から鳴いて
ゴミを外に出させた、との話を振っていたので、サゲがきれいに決まった。

三三は、まだ38歳だが女性を演じると艶やかな色気があり、
喜瀬川に騙される男は3人ではきかなかっただろうなあ、と思わせてくれた。
大汗をかきながらの熱演だった。

「文七元結」
15分の中入り後、文七元結に入った。
文七、と分かった瞬間、周りでも文七で来たかー、という雰囲気が広がった。

三三自身が好青年で若いので、この大ネタは大丈夫か、と思いながら
聞いていたが、博打で身持ちを潰した長兵衛さんはそぐわないものの、
真面目な小僧文七はぴったりで、1時間近いネタをまとめ切った。
1席目では、客のリアクションが薄かったのだが、文七に入ってからは
しっかりと客を掴んでいたと思う。

しかしこの話は良く出来ている。
ラストシーンでは、妻の着物を着た長兵衛と下半身裸の妻と花嫁衣裳の娘が
抱き合って家族の絆を確かめるのだが、映像を思い浮かべると滑稽だが、
涙を誘うシーンである。

寄席でたくさんの噺家を聞くのも良いが、一つのネタをじっくりと聞かせてもらうのも
エエもんだ。

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