立川談春 独演会 京都

京都府立府民ホール・アルティ  2010年4月28日
京都での独演会は初めて。師匠の談志自身も京都で落語会をすることが
なかったそう。京都の雰囲気と談志が合わない?

マクラで、大阪から来た人がどれくらいいるか、と拍手で問うた所、
半分くらいということがわかり、準備していた噺の変更が必要だと悩む談春だった。
後半にやる噺は決まっているので、重たくても真打がする噺2本か軽い笑わせる噺に
真打がする噺の計2本とどっちが良いか、観客に委ねられた。
手拍子で決を取った所、6:4で真打噺2本という微妙な結果に・・・。

そんなこんなでスタートした独演会だった。



「お若伊之助」

ある商家にお若という大変美人な一人娘がいた。
このお若が一中節を習いたいと言い出したため、家に師匠を呼ぶことにし、
鳶の頭 勝五郎に相談すると元武士の菅野伊之助を紹介された。
この伊之助も大変なイケメン。
お若に変な虫を付けたくないという母の心配もむなしく、
ほどなくして伊之助とお若は男女の中になってしまう。

それに気付いた母は、勝五郎を呼び出し、手切れ金20両を渡した上で
伊之助の出入りを禁止する。
完全に伊之助に惚れていたお若は、元気がなくなってしまったので、
母は自分の弟の剣道場に気晴らしのために預けた。

これが根岸という場所で当時大変な田舎だった。
話し相手もなく伊之助を思い焦がれるばかり、恋煩いに伏せってしまった。

1年が経ったある日、お若が外をぼーっと眺めているとあの伊之助がいるではないか。
すぐに手を取り部屋の中に。それから伊之助の訪問が復活し、その内に
お若は身ごもってしまう。

その段になって叔父もようやく事態に気付き、夜に訪ねてきた伊之助を見つけ、
勝五郎に連絡を取り、勝五郎が伊之助を問い詰めたが、伊之助はお若の居場所も
知らないといいはる。

次の夜に叔父と勝五郎が見張り、やってきた伊之助を銃で撃った所、たぬきだった。
お若は2匹の子だぬきを産み落としたのだが、すぐに死んでしまう。
この2匹の子だぬきを根岸御行の松のほとりに葬ったといいうストーリー。

勝五郎のおっちょこちょいぶりが大変おかしかった。
伊之助がお若の元に通いつめていると聞いて、伊之助がいる両国と
叔父の剣道場がある根岸の間を何往復もする描写が秀逸。
叔父と勝五郎が、伊之助とお若のいる部屋の襖を少し開けて、
二人でそーっと確認しあう場面も緊張感とユーモアがあって見所だった。

「包丁」

師匠の談志が、自分よりうまいと言ったという十八番。

しばらく江戸を離れていた寅が、江戸でばったりと昔なじみの常と出会う。
常は美人のかみさんがいながら、若い娘と良い仲になり、かみさんを女郎屋に売り飛ばして
この若い娘と一緒になりたいので、かみさんを口説いて欲しいと頼まれる。
口説いている途中に、家に飛び込んで、旦那の顔に泥を塗ったと包丁を
たたみに突き刺して、かみさんを追い出すという段取り。

これが上手くいく訳がなく、結局寅は奥さんに全てを告白して、
立ち去ろうとするのだが、奥さんから常を追い出すからここに居て欲しいと
頼まれ、一緒になって常を追い出した。

寅が口説こうとしても、凛としてはねつけた奥さんと常を追い出すために
寅にしなだれかかる際の奥さんの対比が素晴らしい。これぞ女だ。
奥さんに襲い掛かるも、プロレスの力比べのようにがっちりと食い止める
奥さんのりりしい姿。

良いものを見せてもらった。


終演後、写真集を購入した客にサインをしてくれた談春。
アンケートを持っていこうとした嫁にロビーのガードマンが、
展示してあったポスターを何故かくれた。

これにサインをしてもらおうと写真集とポスターを持って、嫁がお願いした所、
快くサインをして頂いた。
有難う、ガードマンさん!有難う、談春師匠(ここから師匠呼ばわりかい)!


コメント

てれっとテレキャス さんの投稿…
2つとも聞いたことがありません。

噺家さんってサインする時にかけた話しを書いてくれるんですね。それともそうして欲しいとリクエストされたのでしょうか。
貧家ピー / hynkapii さんの投稿…
初めて落語家さんにサインをもらったので
わからないですが、妻に聞いた所、談春師匠は頼んでないのに「包丁の夜 京都の夜」と書いてくれたそうです。