一止とハルが歩く道 「神様のカルテ」

松本と言えば、松本城が有名だが、小説「神様のカルテ」の舞台でもある。
松本城は見なかったが、舞台となった2ヶ所を訪れた。


相澤病院 

主人公・一止が内科医として勤める本庄病院のモデルである。

救急部の当直に出た日に限って重症患者が多く、「引く医者」と言われている一止。
365日24時間対応にあたるという理念に沿っているためだが、その看板が相澤病院にも
あった。


『本庄病院は開設以来、変わらぬ理念を打ち立て続けている。診療に昼も夜もない。
患者に一次も三次もない。つまりは軽症だ重症だと篩にかけるものではない。
あらゆる事態に対応するのが地域医療の基幹病院としての当然の義務である、と』
(小学館文庫 四刷 以下同 P.23)


昼間の看板


『「だいたいあんな看板を不用意に掲げるから、かくも多くの患者が集まって、
許容範囲を超えた仕事をせねばならんのだ」
窓から見渡せる病院の正面玄関には、「24時間 365日対応」などと
大見栄を切った看板が、造りだけは堂々と掲げられている。』(P.22-23)


夜も看板が光る

深志神社

相澤病院から北へ2-3分歩くと、もう一つの舞台、「深志神社」が現れる。

『病院から北へ、民家を縫うように小道をすすめば、巨木に囲まれた鎮守の森にたどりつく。
深志神社である。
菅原道真を祭伸とするごく小さな神社であるが、歴史は古く、建物にも趣がある。
日中の境内は近所の不届き者どもが駐車場代わりに使用していて実にせせこましい様相だが、
この時間は広々とした白石の砂利が月明かりに浮かび上がり、森閑として空気が澄んでいる。
拝殿わきの赤い灯籠が輿趣を添えてなかなかに美しい。』(P.40)

駐車場にはなっていなかったが、こんな小道から?と驚くくらい自動車が行きかう、
地元の通り道に本殿への入り口があった。



第一話「満天の星」は、患者を亡くし落ち込み夜中に帰宅した一止を、
モンブランから帰国したばかりのハルが深志神社に誘うシーンで終わる。

『「突然ですが、深志神社まで行きましょう!」
 まことに突然の提案である。時間は深夜の二時。
「今からか?遅いし寒いぞ」
「今からです。まだ道真公にただいまの挨拶をしていませんので」
すでに細君はワンピースの上に、紫のカーディガンを羽織り始めている。
「挨拶のできない人になってはいけないと、イチさんがいつも言っていることですよ」
「まあそうだが・・・・」
「ついでにイチさんが背負い込んでいる重い荷物も、少し減らしてもらうようお願いするつもりです』
(P.88)


本殿

次回訪れる機会があれば、居酒屋「九兵衛」で日本酒を飲みたいものだ。



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