古本まつりを30分で切り上げて、出町座へ。
映画館で観たいと思いながら観に行けていなかった『急に具合が悪くなる』を鑑賞。
『パリ郊外の介護施設「⾃由の庭」の施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは⼊居者を⼈間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理が演出するのは、自閉スペクトラム症の孫・智樹と行動を共にする俳優・清宮吾朗の一人芝居。真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる……。』
公式HP Synopsis より
早稲田大学院で文化人類学を学んだマリーとソルボンヌで哲学を学んだ真理の日本語・フランス語による会話劇という感じ。
抽象的な内容をこんなにまでよく外国語で話できるなあと思って最初は見ていたのだが、出会いからの時間は関係ないというばかりに深い部分で繋がるマリーと真理、主演女優賞がどちらか片方ではなくヴィルジニー・エフィラと岡本多緒の二人だったのが理解できた。
介護における理想を追い求めるマリーが現場の負担増・不満という現実にぶつかり、
不可能についてやり取りするシーンが印象的だった。
「不可能なことを可能にできるのか?」
「不可能なことは、不可能です。でも、それは可能になるまでは、です。」
ステージⅣの進行がんで、医師から余命半年と言われたが、1年生きている真理。
「不可能」という判断が、未来を完全に決めるわけではない、と。
「不可能を可能にする抜け道は、実際にそれが可能になったときに初めて、『もともとそこにあった』と分かる」
理想が実現できない介護施設、末期がんからは逃れなれない(人はいつか死ぬ)、
という解決「不可能」な現実の中で、出会って会話を続けることで、マリーは不可能は不可能であると認めながら、1つの抜け道になりそうなものに向かっていった。
主演女優二人に注目していたが、劇中劇で主演清宮吾朗を務める長岡京三、吾朗の孫で自閉スペクトラム症の智樹を演じる黒崎煌代も存在感を示していた。
長岡京三もフランス語のセリフは相当がんばったんだろうなあと思っていたら、ソルボンヌに留学していた経歴があるのを知ってびっくり&納得。素地はあったのか。
濃厚だが、映像・音楽によって静謐な雰囲気も感じた3時間16分だった。
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