
立川談志が亡くなって20日余りということもあって、
どんなマクラが聞けるのか注目していた。
亡くなってから通夜や葬式といった儀式をやっていないため、
実感が全くないとのこと。
躁状態が続いているそうで、いつもの落ち着いた感じよりは
明るい弾けた感が見え隠れしていた。
談志の狂気に憧れを抱いていたが、
躁状態という異常な状態にさらされることで、
狂気は勝ち取るものではなく、日常のすぐそばにあること、
談志のここ数年は苦しんでいたのだとの理解に至った
という話が印象的だった。
「人情八百屋」
今年の10月に岩手に落語をしに行き、地震・津波に生き残った子供
たちのエピソードをマクラに一席目としてスタート。
1席目にしては、ボリュームたっぷりとメインディッシュが出てきた感じ。
八百屋がある裏長屋で貧しい母子に茄子を売ったが、
生で茄子を齧る子供に同情してその時持っていたお金も置いて
帰ってきた。
その母子が気に掛かり、さらにお金を持って訪ねてみたら、
病に臥せっていた主人も奥さんも死んでしまったと聞く。
長屋の火消しの家で訳を聞いてみると、
八百屋が置いてくれたお金で米を買い、ご飯を食べようとしたのだが、
家主が家賃の内金にと奪おうとする。
子供にだけでも食べさせたいので、半分置いていけと頼むが、
言うことを聞かず全額を奪って帰った。
これを無念に奥さんは首を括って自殺、主人も自殺してしまった。
自分のキザな行為が子供を路頭に迷わすことに繋がったと
家主を殺してやると息巻くが、説得されて諦める。
その代わり、二人の子供の親になって欲しいと火消しの大将に
頼まれ、受けようと決めるもやっぱり大将のような立派な方に
育てられた方がいいのではないか、と揺れ動く。
大将は「火消しだけに、ひつけはできねえ」というサゲ。
年一回は東京に親を連れて行き、談春の落語を聞いていた弟の
兄が岩手の落語会に来てくれた話など、マクラから涙を誘っていた。
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