立川談春独演会@森ノ宮①

2011年12月10日 @森ノ宮ピロティホール















立川談志が亡くなって20日余りということもあって、
どんなマクラが聞けるのか注目していた。

亡くなってから通夜や葬式といった儀式をやっていないため、
実感が全くないとのこと。
躁状態が続いているそうで、いつもの落ち着いた感じよりは
明るい弾けた感が見え隠れしていた。


談志の狂気に憧れを抱いていたが、
躁状態という異常な状態にさらされることで、
狂気は勝ち取るものではなく、日常のすぐそばにあること、
談志のここ数年は苦しんでいたのだとの理解に至った
という話が印象的だった。

「人情八百屋」
今年の10月に岩手に落語をしに行き、地震・津波に生き残った子供
たちのエピソードをマクラに一席目としてスタート。
1席目にしては、ボリュームたっぷりとメインディッシュが出てきた感じ。

八百屋がある裏長屋で貧しい母子に茄子を売ったが、
生で茄子を齧る子供に同情してその時持っていたお金も置いて
帰ってきた。
その母子が気に掛かり、さらにお金を持って訪ねてみたら、
病に臥せっていた主人も奥さんも死んでしまったと聞く。

長屋の火消しの家で訳を聞いてみると、
八百屋が置いてくれたお金で米を買い、ご飯を食べようとしたのだが、
家主が家賃の内金にと奪おうとする。
子供にだけでも食べさせたいので、半分置いていけと頼むが、
言うことを聞かず全額を奪って帰った。
これを無念に奥さんは首を括って自殺、主人も自殺してしまった。

自分のキザな行為が子供を路頭に迷わすことに繋がったと
家主を殺してやると息巻くが、説得されて諦める。
その代わり、二人の子供の親になって欲しいと火消しの大将に
頼まれ、受けようと決めるもやっぱり大将のような立派な方に
育てられた方がいいのではないか、と揺れ動く。

大将は「火消しだけに、ひつけはできねえ」というサゲ。

年一回は東京に親を連れて行き、談春の落語を聞いていた弟の
兄が岩手の落語会に来てくれた話など、マクラから涙を誘っていた。

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