「除夜の雪」 桂米朝

桂米朝はなしの世界 2009年12月31日放映。

立川談春が独演会でこの話を掛けたいと、米朝にお墨付きを
もらうのと同時に稽古をつけてもらうために自宅を訪ねた、
「赤めだか」に紹介されていた話。

笑う場面は少なく、しんみりとした悲しい話だった。

除夜の鐘を突くためにスタンバイしている坊主3人が、
寒さに耐えながら、話をしている場面が前半。
笑いはこの部分にしかない。

伏見屋のごりょんさんが、借りていた提灯を返しにきた。
その後、ならしてもいない鐘が鳴り始める。
檀家に亡くなった人がでると、鐘が勝手に鳴り始めるのだと、
兄弟子の坊主が説明するが、その亡くなった人はごりょんさんだった。

伏見屋の若旦那に見染められたが、釣り合わないとおかみに
いびられた末の自殺だった。
釣り合わないのは不幸の元、提灯と釣り鐘、というのがサゲ。

雪が積もっているかのごとく、静かに淡々と話が語られる。
人情噺とも言えないくらいの淡々さ。

米朝は面白いことは何ひとつ言わない、ただ落語を語るだけ。
完成度が高い、と誰かが言っていたが、それを物語る話だった。

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