生きものの生き死に ~ 連載50周年記念「手塚治虫 ブラック・ジャック展」 ~

 


松本二日目、松本クラフトフェアに行く前に寄っておきたい所があった。

ホテルをチェックアウトし、今回も深志神社をお参り。



そのまま東へと徒歩で移動し、松本市美術館へ到着。

ちょうど開催されていた連載50周年記念「手塚治虫 ブラック・ジャック展」を見る。




50年前の1973年に登場したブラック・ジャック。

子どもの頃に親戚の家にあったコミックを読み、気持ち悪い病気があるものだなあという感想ぐらいしか持っていなかったが、段々と手塚治虫が込めたメッセージの多さに気づくようになってきた。





1973年は手塚プロダクションが倒産した年のようで、そんな中での連載スタートだった。
展覧会の冒頭では、当時の社長や息子である手塚眞氏のインタビュー映像が流れていて、その内容が興味深かった。

毎週の連載にも関わらず1話完結だった、手塚治虫だからこそできたこと、と二人とも口を揃えており、確かにそうだと気づかされた。1つの病気で数話つかっても良さそうだがそれをしていなかった。引出しの多さとドラマに仕立てる力量が半端ない。

倒産して引越しする事になったので、どんなに狭い家に行くのかと思ったら、案外広ったという眞氏の話も面白かった。

各話の原画が展示の中心、ついつい読みふけってしまう。


最も心に残る話は、「ときには真珠のように」。

自分を救ってくれた恩師・本間丈太郎を助ける事ができず、自分の無力さに苛まれるブラック・ジャックに、本間先生が語り掛ける。

「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね」


子どもの頃に読んだ時にはわかってなかったが、くも膜下出血も経験した今、本間先生の言葉が沁みてくる。

このコマのマグネットも買ってしまった。


ブラック・ジャック展の他にも、草間彌生の展示も行われていた。




近代美術というような視覚体験もあり、草間ワールドも堪能。



良い休日。

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