2020年の読書メーター読んだ本の数:183
読んだページ数:41175
ナイス数:2932
いるいないみらいの
感想子供がいる未来なのか、いない未来なのか、子供にまつわる5組の男女の短編集。
妊活、養子縁組、子供を亡くした元夫婦など。
どの考え方にも正解も不正解もないので、色々な視点が交する短編集。どの登場人物に感情移入するかで、印象が変わるだろう。
すでに持っているものの幸せに気づかないことも時にはある、という「金木犀のベランダ」節子さんの各セリフが心に残った。
読了日:01月02日 著者:
窪 美澄
犬身の
感想魂が犬の「種同一性障害」ではないかと語る主人公が、犬になり憧れの飼い主の下で犬生を送る。
吾輩は犬(元人間)であるというよりも、飼い主・梓を巡る家族(母・兄)が病みすぎており、「家族八景」を長篇で読んだ感じ。ファンタジーと言えばファンタジー、しかし胸糞悪った。
読了日:01月10日 著者:
松浦 理英子
我らが少女Aの
感想久しぶりの高村薫、合田雄一郎。
池袋の殺人事件をきっかけに、12年前の未解決事件が動き出す。高村薫版「コールドケース」。
関係者の記憶を頼りに謎が解きほぐされていく展開が、12年前の記憶を呼び戻す過程に重なる。
読了日:01月17日 著者:
髙村 薫
丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-の
感想39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受けた著者のその後、認知症と生きることを描く。
認知症=絶望ではなく、認知症でも笑っていられることを伝えてくれる。
失敗しながらでも自信を持って行動する。家族は失敗しても怒らない。当事者の行動を奪わない。
スコットランドワーキンググループの人たちが、「自立」を助けるツールを駆使して(投薬時間を知らせるアラーム付き薬箱、GPS、顔写真付き短縮ダイアルの電話など)自立した生活を送っているという実例は、日本でも参考になるかもしれない。
読了日:01月21日 著者:
丹野 智文
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たちの
感想著者を含めてうつから寛解した人、戦っている人達の紹介。
うつになったきっかけ、脱出方法は様々。
自分を許す・認める・解放してあげる。
自分を否定するものからは、遠ざかる・自分を肯定するものに近づく。
小さな達成感を得られる「何か」を見つける。
読了日:01月26日 著者:
田中 圭一
本当にあった医学論文の
感想ハネムーン喘息、コーラは骨を溶かす?など、珍しい症例や真面目な臨床試験の医学論文を読み物にまとめた。
子供の野菜嫌いを治す方法として、野菜の写真を張り付けたトレー、写真の有り無しで差が出たってホントかな⁉
読了日:01月31日 著者:
倉原 優
ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式の
感想VUCAという不確実な時代に、これまで高く評価されてきた「従順」「論理的」「勤勉」「責任感が強い」オールドタイプではなく、「自由」「直感的」「わがまま」「好奇心の強い」ニュータイプの人材が評価され、豊かな人生を送ることができると説く。
問題を解くのではなく、問題を探すことができるように、考え方・生き方のアップデートが必要。
読了日:02月03日 著者:
山口 周
触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのかの
感想触覚に関する科学。確かに普段考えることは少ない。
皮膚の触覚センサーから脊椎へと情報を運ぶ神経線維は、全てではないがほとんどが各種物理刺激ーざらざらの質感、震動、引っ張られているーの中のひとつを伝える専用線となっている。愛撫に特化したセンサー、かゆみのセンサー、性的接触のセンサーも存在する。
痛みの知覚は能動性を持っている、といった点が興味深かった。
読了日:02月06日 著者:
デイヴィッド・J. リンデン
凍りついた瞳 2020 虐待死をゼロにするための6つの考察と3つの物語の
感想虐待予防、虐待を見逃さない、生き延びた子供たちをどう支えるか、専門家たちの考察・提言の最新版。
1994年からのシリーズ最新刊だが、虐待の犠牲になる子供は無くなっていない。
CDS(チャイルド・デス・レビュー)といった死亡を次に活かす活動、子供の死因究明を虐待死減につなげる活動が今後必要との提言があったが、死が基になっているのが現実をつきつけられる気がしてやるせない。
読了日:02月10日 著者:
椎名 篤子
1ミリの後悔もない、はずがないの
感想第15回 R-18文学賞読者賞受賞作。
受賞作「西国(にしこく)失踪少女」 イカをさばく触感から捕まれた。窪美澄をちょっと思い浮かべる。
中学時代から娘が同年代になるまで、主人公たちの視点を変えながら主に恋愛を中心に展開していくが、人と人と繋がりの脆さ・強さを感じるストーリーだった。
読了日:02月14日 著者:
一木 けい
やりなおし高校地学 (ちくま新書)の
感想大学入試センターの試験問題を解きながら、地学ー地球、日本列島、大気・海洋、宇宙ーを学ぶ。こんなに広い学問だったのか。
著者が地学を学んで欲しいと考える第一のテーマが、「人類の存在基盤について知ること」-我々はどこから来て、我々は何者で、我々はどこへ行くのかを知ること。
日本列島が居住するには如何に厳しい環境であるのかがよくわかった。
読了日:02月19日 著者:
鎌田 浩毅
SPY×FAMILY 2 (ジャンプコミックス)の
感想何とか補欠合格でイーデン校に入学したアーニャ。
ターゲットであるデズモンドの息子を殴ってしまったが、
仲直りを図るセリフ「いきなりなぐってごめんなさい。アーニャはほんとはおまえとなかよくしたいです」にやられた。
ヨルの弟・ユーリという存在が、不穏な流れに繋がりそう。
読了日:02月22日 著者:
遠藤 達哉
夜空はいつでも最高密度の青色だの
感想NHKの番組で存在を知って読んでみた。
正直な所、あんまりささらなかったが、あとがきに書いてあった、自分をレンズのような詩が書きたいー触媒ということかな、というのが一番印象的であったかもしれない。
読了日:02月23日 著者:
最果 タヒ
なんでわざわざ中年体育の
感想走るのは嫌いといいながら、9年も走り続けられるって。
著者に怒られそうだが、元気はつらつなインストラクターに運動を奨められるよりも、運動は楽しそうと思わせてくれる効果があった。
読了日:02月25日 著者:
角田 光代
最強経営者の思考法の
感想松下政経塾第2期生で松下幸之助に師事し、元ソフトバンク社長室勤務で孫正義に仕えた著者が、2人の発言からリーダー論をまとめた。
天命を知る 何を成すために生まれてきたか。それを知れば天命を知る。世の中にやらせてもらっている仕事と思う。
読了日:02月28日 著者:
嶋聡
図解ポケット SDGsがよくわかる本の
感想前身のMDGsとの関連から17の目標のターゲットレベルでの解説が、題名の通りわかりやすくまとめられている。取り組みに役立ちそうな入門書。
上辺だけSDGSの達成に貢献する振りをすることをSDGsウォッシュという。
読了日:03月05日 著者:
松原 恭司郎
世界が動いた決断の物語【新・人類進化史】の
感想決断に関する事例紹介が主の内容かと思って読んだが、少し違った。
ウサマ・ビンラディン暗殺に詳しかったが、決断だけでなく、分析・想定など決断するまでの過程を細かく追っていく。
多様な集団の方が正しい決断を行う可能性が高いが、同時に間違っているかもしれないという可能性に考えに抵抗が少ない。
「分析がどんなに厳密でも、想像力がどんなにたくましくても、人に絶対できないことは、自分がけっして思いつかないことのリストを作成することだ」トーマス・シェリング
読了日:03月10日 著者:
スティーブン・ジョンソン
千年後の百人一首の
感想布や糸・ビーズによるイメージ画と最果タヒによる現代語訳のコラボレーション。
巻末の解説で和歌の裏側も味わうことができる。
あまり知らないと思っていたけど、耳に残っている歌が結構あった。
読了日:03月12日 著者:
清川 あさみ,最果 タヒ
ものぐさ性愛論―岸田秀対談集の
感想女優・作家・落語家などとの家族・バイアグラ・セックススキャンダル・江戸の性愛についての対談、書簡集。
テレサ・テンの歌詞の内容が、日本語と中国語で違うというのが興味深かった。
読了日:03月17日 著者:
岸田 秀
カソウスキの行方 (講談社文庫)の
感想表題作含め3篇の短編集。
左遷された郊外の倉庫で同僚を好きと仮定してみる「仮想好き」、恋愛しない恋愛小説なのか。
その通り何が起きる訳ではないが、流れている雰囲気は嫌いではない。
読了日:03月18日 著者:
津村 記久子
労働経済白書〈令和元年版〉人手不足の下での「働き方」をめぐる課題についての
感想ワーク・エンゲイジメント(働きがい)についての言及があると聞いて。
様々な調査結果から、ワーク・エンゲイジメントが高い人は、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ていきいきとしている状態にあり、様々なプラスの効果が期待できる(調査結果との正の相関がある)。
読了日:03月22日 著者:
簡単なのに驚きの効果 「部下ノート」がすべてを解決するの
感想指導内容を1行記載し、後日の行動と成果に繋がったかをチェックする、という簡単な内容。
1987年出版の人材育成本に載っている新人類の特徴が、今の人間にも重なる部分がある。レッテル貼りは意味なし。
行動特性を意識するために、人間を2つの軸で4つのタイプに分けるソーシャルスタイルでの分類は有効かも。
読了日:03月22日 著者:
髙橋恭介,望月禎彦
たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」の
感想3つの思考力 発散思考・収束思考・メタ認知思考を身につけるために、質問をさせる大切さを説く。
①質問の出発点「質問の焦点」の提示
②単純な四つのルール
③生徒たちが質問をつくり出す。
④生徒たちが「閉じた質問」と「開いた質問」を書き換える
⑤生徒たちが優先順位の高い質問を選択
⑥優先順位の高い質問を使って、教師と生徒が次にすることを計画する
⑦振り返り
自律的な社員を作る研修に応用ができそう。
読了日:03月27日 著者:
ダン ロスステイン,ルース サンタナ
世界一わかりやすい 教える技術の
感想「教えたのにできない」のは、100%教える人の責任です。
変えるのは相手の心ではなく行動。
3つのゴール 運動スキル 認知スキル 態度スキル
耳で聞いたことが強く残る人(聴覚優位)と目で見たことが強く残る人(視覚優位)がいるので、それぞれの特徴に合わせた教え方を行う。など。
読了日:03月30日 著者:
向後 千春
木皿食堂2 6粒と半分のお米の
感想神戸新聞・小説推理の連載、シナリオ講座、インタビュー記事など。
NHK SWITCHインタビュー 佐藤健との対談が(テレビでも面白かったが)掲載されており、一番読み応えある。
世界の4%を抱きしめる。
読了日:04月07日 著者:
木皿 泉
べらぼうくんの
感想浪人~京大時代、繊維メーカーを退職し作家を目指し「鴨川ホルモー」ができるまで、自伝的エッセイ。
偶然に偶然が重なって「鴨川ホルモー」が世に生まれた。
良かった良かった。
無職時代から「バベル九朔」生まれたのか。
読了日:04月13日 著者:
万城目 学
芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~の
感想オーディオブックにて。
結成11年目の売れない漫才コンビ・イエローハーツの甲本・田中の交換日記形式で進む。2人の掛け合いが、オーディオブックでちょうど良かったかも。
わかりやすいキャラクター、わかりやすい展開であった。
やろうと思ってたとやるの間には大きな川が流れているというのは良い言葉だった。
読了日:04月28日 著者:
鈴木おさむ
ゆかいな珍名踏切 (朝日新書)の
感想アエラ・ドット連載の書籍化。
踏切に名前があるのを知らなかった。
周辺の産業やお店の名前が付けられていたが、季語みたいに言葉自体が使われなくなって踏切名の意味が通じなくなることも増えそうだ。
読了日:04月28日 著者:
今尾 恵介
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーの
感想イギリス ブライトン住む著者、長男が通うことになった「元・底辺中学校」での1年半。
貧困・人種多様性/差別といった現実に、そのまま素直に向き合いぶつかって自分の血肉に取り込んでいく息子さんが素晴らしい。ハッとさせること多かった。
読了日:05月01日 著者:
ブレイディ みかこ
ふたりぶんの朝ごはんの
感想ごはん、パン、休日の夫婦2人分の朝ご飯をイラストで紹介。
レシピ、ふたりの間柄にほっこりする内容。
休日の朝ご飯は、ほとんど昼ご飯というしっかりしたものも。
読了日:05月04日 著者:
たかはし みき
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術の
感想audiobookにて。
ムリを重ねる、感情のムダ遣い、ムラがある。
心のエネルギーの使い方が下手だと、ムリ・ムダ・ムラが生じる。
心のエネルギーの上手なマネジメント方法、心身を整える方法を、自衛隊メンタル教官がアドバイス。
新型うつへの対処方も。
読了日:05月07日 著者:
下園 壮太
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事の
感想科学的根拠(エビデンス)に基づいた健康に良い食品情報、食品情報の選び方。
医学研究では、観察研究よりもランダム化比較試験で得られた研究結果の方がエビデンスレベルが高いとされる。
ランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスが最強のエビデンス。
エビデンスに基づいた健康に良い食品
茶色い炭水化物(そば、玄米等)・野菜(じゃが芋は除く)・果物・魚・ナッツ類・オリーブオイル。
読了日:05月11日 著者:
津川 友介
経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門 audiobookの
感想会社とは・利益とは何か、リーダシップ・マネジメント・経営戦略に至るまで、
広範囲にわかりやすく解説されており、マネージャー予備軍のテキストとして
書かれたようだが、立場に関わらず組織で働く人間すべてに役に立ちそうな好著。
経営とは、他人を通して事をなすこと
任して任さず
性弱説 人は「善い」が、弱いもの
読了日:05月16日 著者:
伊丹敬之
ハッピーロンリーウォーリーソング (角川文庫)の
感想「てのりくじら」「ドレミふぁんくちょんドロップ」という2冊の歌集が写真と1冊に。
写真と合わさったスタイリッシュな印象だが、定形という驚きいい意味のギャップを感じる。
真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声
本当のことを話せと責められて君の都合で決まる本当
有罪になりたいがゆえ今いちど罪を重ねるごと口づけ
読了日:05月17日 著者:
枡野 浩一
世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていることの
感想Audiobookにて。
MENSAや著者が出会った・仕事を一緒にした人々が行っていた仕事術・考え方を紹介。
特別難しいという事柄はなく、自己啓発本に書かれている内容を一つずつ実行することが大切という感じ。
空気を読まない、欠点を悠然と受け止める、やらないことリストを作る、集中力を身につけるのではなく集中力を発揮できる環境を整える。
読了日:05月19日 著者:
中野信子
青天の霹靂の
感想audiobookにて。
売れない中年のマジシャンが過去にタイムスリップ、自分の両親に会い自分の出生の秘密に触れる。いい話だった。
タイムパラドックスは横に置いておいて、こんな生き方をしていて、生まれについての流れを知ったらとてつもなく辛い。
読了日:05月22日 著者:
劇団ひとり
みんな酒場で大きくなった (河出文庫)の
感想著名人と居酒屋で杯を傾ける。
角野卓造・川上弘美・東海林さだお・椎名誠・大沢在昌・成田一徹。
「怪しい探検隊」で初めて名前を知ったが、いつの間にか居酒屋の達人になってたと感じる。とにかく居酒屋に行きたくなる。
大沢在昌との回、冒険ハードボイル系作家間の熱くてウェット間柄が、うらやましい。
読了日:05月24日 著者:
太田 和彦
サンショウウオの明るい禅の
感想audiobookにて。
「自分の中に、1匹のサンショウウオを住みつかせること。それが禅、ひいてはあらゆる宗教を信じる意味ではないか」
臨済宗妙心寺派僧侶、芥川賞作家の玄侑和尚が雑誌・新聞等に掲載したエッセイをまとめた。
エッセイとはいえ、中々難しかった。禅の世界が深いという事だと思うけど。
読了日:06月10日 著者:
玄侑 宗久
一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書)の
感想書籍やインタビューなどから抜き出した著者の言葉たち。
「生きること」「家族のこと」「病いのこと、カラダのこと」「仕事のこと」「女のこと、男のこと」「出演作品のこと」の6テーマ。
他人から見ると内田裕也とのちょっと不思議な夫婦生活は、「縁」という言葉で簡単にラベル付けできない関係に感じた。
読了日:06月13日 著者:
樹木 希林
人類と気候の10万年史: 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのかの
感想Audiobook にて。
ミランコビッチ理論(楕円の公転軌道)によると、周期的な気候変動は避けることができず、人類誕生の20万年前から、気候の激変を経験している。
(現代は11,600年前から続く温暖期で安定した気候を享受している、氷期に向かっている途中)
福井県 三方五湖 水月湖の年縞研究が、その解明の一翼を担ったということも良く分かった。
読了日:06月17日 著者:
中川 毅
コンサル一年目が学ぶことの
感想Audiobook にて。
業界に限らず、仕事を行う上で大切な基本が述べられている。新入社員教育にぴったり。
社会人は生産者。お金を払うのは会社、消費者目線は間違い。
事実と解釈と実行の区別。
顧客がどう感じるか、「価値がある」と思わなければただの自己満足。
数字とファクト。
読了日:06月20日 著者:
大石 哲之
絶望スクール 池袋ウエストゲートパークXVの
感想IWGP シリーズ第15弾
①目白キャットキラー/ネコ虐待
②西池袋ドリンクドライバー/朝の通学路に暴走車
③要町ホームベース/違法引きこもり支援会社
④絶望スクール/外国人留学生から搾取
の4編。
現実の池袋西口公園も変わったんやな。
読了日:06月21日 著者:
石田 衣良
老乱の
感想徐々に痴呆が進む不安感を、当事者とその家族の目線で
進む。できたことができなくなる不安・ないがしろにされる不安感・居ていいのだと大事にされたい老人側と早く痴呆を治したいという家族の気持ちのギャップは、介護家族毎に発生していそうだが、埋めるのは簡単ではない。
読了日:06月23日 著者:
久坂部羊
人はアンドロイドになるために (単行本)の
感想問題発見型の研究の一つとして、執筆した小説。短編5編。
前半は、ジェミノイド・テレノイドの研究著書で読んできた内容がそのまま小説になった感じ。
ブレインアップロードされたアンドロイドが普及した時の自我は?身体的拡張はどこまで?など、想像・思考を試される内容だった。
読了日:06月27日 著者:
石黒 浩,飯田 一史
2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書)の
感想隆祥館書店で購入。19:00からのAudiobook YouTube 配信も視聴。
2012年6月30日 東大 伊藤謝恩ホールで行われた10代・20代限定(300人)の講義を書籍化。
「正解」なんてものはない、自燈明ー自ら明かりを燈せ。他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれ。借り物の権威・言葉に寄り掛かる傾向が強まっている現代において、しっかりと持っておきたい考え方だ。
自分で考えるために言葉・教養を身に付けよう。
日本の若い世代に武器を渡せるように行動しなければ。
読了日:06月30日 著者:
瀧本 哲史
井村雅代 不屈の魂 (河出文庫)の
感想シンクロ(アーティスティックスイミング)日本代表 井村雅代コーチの中国代表指導前後を中心に
軌跡を描く。東京五輪延期まで加筆されている。
目標からの逆算、選手に対して決してあきらめない指導、公平性を持つ等、スポーツだけでなく、親・上司など指導する立場の人間のそばに置いておきたい一冊。
シンクロに対する愛情が、純粋で強く、今この瞬間にできることに死力を尽くされる方と見受けられる。
北京五輪の最終メンバーからベテラン選手を外す場面、中国選手の水着のスパンコールを日本代表の親が縫い付けた話に感動した。
読了日:07月09日 著者:
川名 紀美
蕎麦湯が来ないの
感想自由律俳句集 第三弾。
エッセイが増えたような気がする。
蕎麦湯が来ない
このシートベルトは永遠にはまらない
そうだふりかけがある
マスターではなくバイトだった
読了日:07月09日 著者:
せきしろ,又吉直樹
13坪の本屋の奇跡 「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年の
感想創業70年、13坪の小さな本屋として大阪で有名な谷六の隆祥館書店。出版業界の悪習との闘い、トークイベント「作者と読者の集い」の歴史・内容紹介の二部構成。
販売実績を全く無視した本屋の規模のみで配本する「ランク配本」、注文していない本、時には何年も前の本・雑誌が送り付けられる「見計らい配本」をやっている場合ではない。
過去に意味があったとしても、意味が薄れたのであれば変えるべき。血流が滞れば肉体は滅びる、同じことをやっている取次は自分の首を絞めている。滅びるのは自由だが、本を道連れにするのはやめてくれ。
読了日:07月10日 著者:
木村元彦
エンド・オブ・ライフの
感想渡辺西賀茂診療所で在宅看取りを行ってきた森山看護師が、末期がんの告知を受けどのような最期を迎えるのか。
著者の父親の献身的な妻の在宅看護の様子と共に、7年間の在宅医療を取材した一冊。
森山看護師に同行した患者と家族、父と母、森山看護師の終末期は、皆それぞれ。
患者の好きな人と過ごしたいように過ごし、好きなものを食べて、好きな場所に出かける。入院していてはできない生活、これが森山看護師の命を閉じるレッスンだった。
読了日:07月14日 著者:
佐々 涼子
孤塁 双葉郡消防士たちの3.11の
感想2011年3月11日東北大震災後、津波・原発事故下で勤務に当たった福島県双葉消防本部125名の消防士たちの活動の記録。
全体像を把握する情報が欠如する中、通常の業務範囲を大きく超える現実に、親として・夫として・消防士としてどう行動すべきか揺れる心の内も描かれる。
unsungヒーローの一言では片づけてはいけないだろう。
読了日:07月19日 著者:
吉田 千亜
教える力―私はなぜ中国チームのコーチになったのかの
感想北京・ロンドン五輪で中国代表を指導した内容が中心。
これを読むと、国籍なんて関係なく、目の前の選手を上達させたい、メダルを取らせいということしか考えていないことがよくわかる。裏切者とか言ってたのは、何も知らない外野にすぎなかったということも。
読了日:07月21日 著者:
井村 雅代
俵万智訳 みだれ髪の
感想「みだれ髪」を現代語訳した「チョコレート語訳 みだれ髪」・「みだれ髪Ⅱ」をまとめた一冊。
与謝野晶子と俵万智の両方を味わえてお得な感じ。
「ゆるされし 朝よそほひのしばらくを 君に歌ヘな 山の鶯」
(鶯よ歌え二人の朝のためメイクアップがまだ終わらない)
読了日:07月25日 著者:
俵万智,与謝野晶子
僕は君たちに武器を配りたいの
感想剥きだしの資本主義社会=本当の資本主義社会の中で生き抜くために身に付けておくべき思考法を武器として渡す。
コモディティ化する人材になるリスクが高まる中、生き残るタイプは「クリエイター」「イノベーター」「投資家」「リーダー」の4つ。一人が4つの顔を状況に応じて使い分けることが理想。
読了日:07月29日 著者:
瀧本 哲史
僕とぼく 妹の命が奪われた「あの日」からの
感想2004年に長崎県佐世保市で発生した「小6同級生殺害事件」被害者の二人の兄、「僕」と「ぼく」の交互による回顧録形式。
家族内の立ち位置・向き合い方も違う二人が、事件とどう向き合い受け止めていったのか、ゆっくりと描かれている。
読了日:08月05日 著者:
川名壮志
こころの
感想朝日新聞連載から60編を掲載。
自分の気持ちもわかっていない「こころ」だったり、
子どもの「こころ」、体と対比した「こころ」など、
心尽くし。
読了日:08月06日 著者:
谷川俊太郎
脳が良くなる耳勉強法の
感想audiobook 無料版にて。著者はオトバンク代表取締役社長。
すきま時間を利用した聴覚を利用したながら勉強の入門編。
読了日:08月08日 著者:
上田 渉
スマイリング! 岩熊自転車 関口俊太の
感想シングルマザーに育てられ経済的に級友と差を感じながら、周りの味方に助けられながらロードレーサーとして成長する中学生・悠太の成長物語。
ありがちなキャラ設定、ツール・ド・函館のレースシーンもちょっと無理があるが、逆に自転車の技術面はしっかりしていて、全体的には楽しめた。
読了日:08月09日 著者:
土橋 章宏
世界一幸せな子どもに親がしていることの
感想・赤ちゃんは生まれてすぐ夜通し眠るようになる
・小学生のうちは宿題なし、塾通いもなし
・子どもたちは親の監視なく外で自由に遊ぶ
・10点満点中6点でどんな大学にも進学可能
・OECD(経済協力開発機構)の学力調査で読解・数学・科学で上位
自分の時間を大切にするために、パートタイムでの仕事が普及していて、仕事とプライベート時間の割り振りがしっかりしている事も、子育てにいい影響を与えていそうだ。
読了日:08月12日 著者:
リナ・マエ・アコスタ,ミッシェル・ハッチソン
遊戯神通 伊藤若冲 (小学館文庫)の
感想明治37年 アメリカ・セントルイス万博 日本館の〈若冲の間〉から物語が始まる。史実を基に江戸と明治を行き来し、
若冲の素顔に迫ろうとする一冊。
錦市場差し止め問題の最中に描き、天明の大火でも生き残った「動植綵絵」「釈迦三尊像」に、作品に乗せられている若冲の思いを突き付けられた。
「遊戯神通」遊び戯れるかの如く人々の救済を楽しむこと。
読了日:08月18日 著者:
河治 和香
マッチの気もちの
感想鉄砲、釣り針、どんぐり、猫のひげ、梯子、綿ぼうし、落下傘。
マッチから広がる無限の想像力。
マッチの響き・フォルムが懐かしくもあった。
読了日:08月21日 著者:
マリス博士の奇想天外な人生の
感想PCRを発見したことでノーベル賞を受賞した著者による自伝。LSD常習者、サーフィン好き、超常体験、いわゆるノーベル賞受賞者のイメージとは違う。エイズとエイズウイルスの関係の自論を読むと、今の新型コロナウイルス感染症についての発言で、大炎上させていただろうなあと妄想。
読了日:08月23日 著者:
キャリー マリス
芝園団地に住んでいます : 住民の半分が外国人になったとき何が起きるかの
感想
人口の半分以上が外国人となった川口市芝園町にある芝園団地に暮らしてみた住民目線のルポ。
人口減少が進む日本の近い未来を表す団地と言える。
「ここは我々の団地だ」という多数派の特権意識は、対外国人との対立に繋がりやすそうだが、自治会に入会しない世帯も増えていたり、日本人間・世代間の対立も生みかねない。単に文化の違いで片づけられない問題ではないかと感じた。
読了日:08月25日 著者:
大島 隆
物語の海を泳いでの
感想著者の書評・エッセイから350冊を紹介。
こんな風に感想を書きたい。読みたい本がバリバリ増えていく。「みんな酒場で大きくなった」で大沢在昌との対談部分で泣いてしまったって、わかります。
読了日:08月28日 著者:
角田 光代
聖なるズーの
感想本屋大賞 ノンフィクション本大賞ノミネート作品。
性暴力の被害者で「愛」がわからないという著者。
ドイツの動物性愛者団体「ゼータ」のメンバー(ズー)と寝食を共にし、動物との性愛とは?動物とのコミュニケーション・性愛は成立するのか?セクシュアリティとは何を意味するのか?一つ一つぶつかりながら思索を深めていく。
その過程に読者として同行し、驚きと自問の連続、価値観を揺さぶられる。ズーとは自分とは異なる存在たちと対等であるために日々を費やす人々。性暴力は「支配」という正反対との気づきに繋がった。
読了日:09月04日 著者:
濱野 ちひろ
靴ひも (新潮クレスト・ブックス)の
感想「もしも忘れているのなら、思い出させてあげましょう。私はあなたの妻です。」
個人的・小説の冒頭の一文大賞TOP10にランクイン。
イタリアのとある家族を妻・夫・娘の視点で描かれた3章仕立て。家族の結びつき・虚構が上手く描かれている。
視点が変わるたびに、それまでの章で感じた共感が覆されていく感じ。
角田光代「物語の海を泳いで」から手に取った。
読了日:09月09日 著者:
ドメニコ・スタルノーネ
アカガミの
感想明治時代のお見合いを現代に移し替えたような展開、パラレルワールドだろうか。2000年以降に生まれた人間は40歳で死ぬという説(人生100年時代の逆という皮肉)がまことしやかに語られる2030年、若者の多くは人との接触を断ち、恋愛・結婚・子供を持つ事を選ばず、死に急ぐ世界。「アカガミ」というお見合いシステムに志願したミツキ、手厚いサポートに守られながらサツキとの暮らしに初めて愛を感じ始める。3人の将来が気になるが、サツキのふるさと生きていく姿が目に浮かぶ。愛する家族と苦労して生きていくのも幸せか。
読了日:09月11日 著者:
窪美澄
関西俳句なうの
感想2011年1月1日~12月31日の俳句グループ「船団」の関西在住若手メンバー6人で立ち上げられた情報サイト「関西俳句なう」。関西(西日本)の同世代的な俳句を発掘・紹介する企画で1年間運営された。
13人 x 50句ー13人x50句と往復書簡で構成された本書。
俳人によって全く違うテイストになっていて面白かった。
読了日:09月11日 著者:
ちちんぷいぷいの
感想ちょっと不思議な話、皮肉の効いた話、50編の掌編小説。前の掌編のキーワードが次のストーリーに引き継がれるバトン形式。
読了日:09月12日 著者:
松山 巖
つけびの村 噂が5人を殺したのか?の
感想12人が暮らす山口県の限界集落で、5人が殺害された2013年の殺人事件。都会から帰ってきたが、村八分・いじめられていたという見方が違っていた、「うわさ話」だった事を丁寧にあぶりだす。noteから火が付いたというのが、新しいノンフィクションの形。
読了日:09月17日 著者:
高橋ユキ(タカハシユキ)
東京、コロナ禍。の
感想コロナ感染症患者の発生、増加する2020年2月下旬から7月はじめにかけての東京を撮影。
日々変化していく状況に、既に懐かしさを感じた。
読了日:09月18日 著者:
ファイトの
感想モハメド・アリの代表的な4試合をアリの実況・心情表現で描く。ソニー・リストン戦が特に熱かった。
章を読み終わるごとに、youtubeの映像と見比べてしまった。
読了日:09月19日 著者:
佐藤 賢一
だから荒野の
感想毎日新聞連載。
誕生日に自分でレストランを見つけて、運転させられて、料理に文句つけられたら、キレル気持ちもわからないではないが、そのままの家出も相当無茶苦茶。
残された家族と共に危なっかしい妻の逃避行がどうなるのか、とページを捲った。
読了日:09月22日 著者:
桐野 夏生
Number(ナンバー)1010号[雑誌]の
感想藤井聡太と将棋の天才。
[最年少二冠の輝き]藤井聡太「天翔ける18歳」
[最年少街道は続く]記録で辿る異次元の歩み
[トップ棋士縁側対談]佐藤天彦×中村太地「藤井はピカソか、モーツァルトか」
[永世名人の慧眼]中原誠が語る18歳の羽生と藤井
読了日:09月26日 著者:
最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)の
感想一冊だけ作品を残し自殺した作家の伝記を書く公認を得るためにアメリカの大学院生が南米ウルグアイの遺族(妻・愛人・兄)の元を訪ねる。
独特のキャラを持つ遺族たち、風変りな同居生活は、ジョン・アーヴィングの世界を思い浮かべたが、静かに静かにストーリーが進んでいった。
優柔不断だった主人公・オマーが、実はアンバランスだった3人の同居生活に触媒のように影響を与えていく。
人の心とはこういうものなんだろうな、というようなゆらぎを感じた。
読了日:09月29日 著者:
ピーター キャメロン
この橋をわたっての
感想表題作含め8篇の短編集。語り口が新井素子だ。
作家生活40周年を迎え、新井素子は小説が書けます、
という後書きが素敵。
読了日:10月01日 著者:
新井 素子
蚊がいる (角川文庫)の
感想エッセイ集。自意識について、対談収録の又吉直樹と似ているかも。ルーニーのWikipedia、長友のチョコの彼女が素敵。
読了日:10月07日 著者:
穂村 弘
「コミュ障」の社会学の
感想不登校を経験した著が、27歳から39歳まで「コミュニケーション」「生きづらさ」「不登校」「当事者」について書かれた文章を集めた一冊。
読了日:10月08日 著者:
貴戸理恵
受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基の
感想既に失冠してしまったが、46歳3か月史上最年長で初タイトルを取得した木村九段の半生・第60期王位戦の闘いをまとめた一冊。
木村九段の人柄がうかがえる。あきらめずに挑戦し続けることは大切だ。
読了日:10月11日 著者:
樋口薫
【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡されたの
感想主人公17歳、父親が3人、母親が2人?と冒頭でクエスチョンマークが付いたが、読み進めるうちに把握。
色々とツッコミ所があるが、ファンタジーとして読んだらいいのかも。著者の描く家族は、こちらの常識を超える。懐の深い優しい人たちに囲まれる。
読了日:10月12日 著者:
瀬尾まいこ
安楽死を遂げるまでの
感想スイス・オランダ・ベルギー・ルクセンブルク・アメリカ(一部の州)・カナダで認められている安楽死・自殺ほう助の現場ルポ。国によっても、言葉・定義が違うように一つの物差しで測るのが難しい問題。
死は個人のものか、集団か社会のものかとの問いには後者に傾くが、安楽死というオプションを持つ事のメリットもある気もする。揺れる。
読了日:10月19日 著者:
宮下 洋一
数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めての
感想宇宙学、量子物理学、実在とは何か。物理的実在は数学的構造そのものである。
これは科学の本なのだろうか。哲学的でもあり、人間の頭脳の奥行・可能性を感じる一冊だった。
全然理解できてないけど。
「ビッグバンから140億年以内にそこから光が私たちに到達できた球形の空間領域」でも十分広いのに、平行宇宙が4つもあるとは。
読了日:10月30日 著者:
マックス・テグマーク
動きだした時計: ベトナム残留日本兵とその家族の
感想太平洋戦争後もベトナムに残り、家族も設けるも帰国したベトナム残留日本兵家族を追う記録。
ほとんど説明もなく去った夫や父を数十年に渡り想い続けるベトナム人家族の気持ちに胸を打たれる。
元日本兵たちが、なぜ家族を残して帰国しなければならなかったかという疑問について、ベトナム史研究者たちの解説・当事者の手紙から、中国の存在・冷戦の影響を大きく受けたのであろうと推測でき、納得できた。
元日本兵、残留家族共に歴史の流れに翻弄された被害者と言えるかも。
読了日:11月05日 著者:
小松 みゆき
顔ニモマケズ ―どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語の
感想病気で顔に痣や傷があったりする「見た目問題」当事者9人のインタビュー記事。それぞれの歩みの中に、他者との摩擦に悩み、乗り越えようと努力したり、折り合ったり、受け入れたりさらっと書かれているが、苦しい経験だったに違いない。みんな行動している、親・友達・家族といった味方に恵まれている。
世の中にあるものは、どんなものにも必ず何か意味がある。
/相手に警戒されるのは、外見の問題ではなく、コミュニケーションの問題。/人との間にある壁は、相手だけではなく自分も作り出している。
読了日:11月12日 著者:
水野 敬也
ふらり旅 いい酒いい肴 1の
感想BS11の番組の書籍化。
倉敷・尾道・伊勢・小田原・鎌倉・勝浦・高知・松山・会津・松本・鹿児島・熊本・八丈島・浅草・
秋田・鶴岡・神戸。テレビで見る方がいいなあ。
読了日:11月14日 著者:
太田 和彦
緩和ケア医が、がんになっての
感想緩和ケア病棟勤務の著者が、ジスト(消化管間質腫瘍)を患い、闘病生活をつづった手記。
抗がん剤を流しに捨てたり、勝手に点滴の速度を早めたり、医者と言えども人間臭い。自分が当事者になって、初めて患者として実感した事を正直に書いてある感じ。
読了日:11月16日 著者:
大橋 洋平
昆虫は美味い! (新潮新書)の
感想東南アジアでいろんな動物は食べたけど、虫はちょっとなあと思っているが、モノによっては美味しいのかもという気がする。
国連食糧農業機関が昆虫食を推奨する報告書を2013年に発表。高タンパク低脂肪の他、飼育変換効率が良い、可食部が多い、温室効果ガスの放出量が少ない、有機廃棄物で飼育できる、人間の植物と重ならない、と良い事づくめじゃないか。
読了日:11月18日 著者:
内山 昭一
木皿食堂3 お布団はタイムマシーンの
感想シリーズ3作目。神戸新聞・日経新聞などの連載エッセイ、藤野千夜との対談を収録。
日経新聞連載分は、掲載時に読んでいたはずだが、覚えてなかった。妻鹿さんの、ご主人への静かな愛情が感じられるエッセイが多かった。
読了日:11月22日 著者:
木皿 泉
癌だましいの
感想第112回文學界新人賞を表題作で受賞。受賞第一作の「癌ふるい」脱稿後に亡くなった著者の2編。食への執着を、圧力で感じる。
読了日:11月23日 著者:
山内 令南
タイ・ビルマ 国境の難民診療所―女医シンシア・マウンの物語の
感想1989年にタイ北西部・メソットに設立された、ミャンマーからの難民ー軍事政権による迫害・弾圧などによってタイに逃れて来た人々、貧困で国内で医療を受けられない人ーに、無償で医療を提供し続けるメータオクリニック。立ち上げ・運営してきたシンシア・マウン医師とクリニックを紹介する。
医療を直接提供する苦労だけでなく、後進を育てる・移動医療団ー「バックパック医療団」の構築など、すそ野を広げる努力も素晴らしい。
難民がミャンマーでの平和な生活を取り戻せると良いが、軍事政権後でも、あまり変化はないのかもしれない。
読了日:11月30日 著者:
宋 芳綺
家飲みかんたんドリンク150の
感想コロナ過の家飲み・オンライン飲み会を意識したようなカクテルのレシピ集。定番から、ガリガリ君・コーラを使ったオリジナルカクテルまで150種類。
インスタ映えしそうなカクテルもたくさん。
読了日:12月01日 著者:
そばですよ (立ちそばの世界)の
感想東京の立ち食いソバ屋 26点を紹介した本の雑誌連載。
ページから立ち上る出汁の香り、間違いなくそばを食べたくなる。出汁のひき方といい、かえしの作り方・寝かさないかえしとかえしのミックスなんて、立そばとは言え奥が深い。
読了日:12月04日 著者:
平松 洋子
ファーストマン(下) (ニール・アームストロングの人生)の
感想アポロ11号打ち上げ前のサターンロケット事故、打上げ・月面着陸、地球帰還後のアームストロングの人生を描く下巻。
打上げから着陸に至る場面がやはり圧巻だった。
51年前にこれだけの業績を成し遂げたことに改めて驚いた。
一見不可解に思える言動や行動を行うアームストロングが、
どのように生まれてきたのか、上下巻を通じて明らかにもなった。
読了日:12月14日 著者:
ジェイムズ・R. ハンセン
献灯使の
感想2018年全米図書賞 翻訳文学部門受賞(The Emisarry)と知り、手に取った。
大災厄に見舞われ、外来語なし、インターネットなし、鎖国状態になった日本を描くディストピア小説。
死ぬ事ができなくなった老人と「若さ」を失った若者たち。老人・義郎と生活する曾孫の無名は、「献灯使」として海外に旅立つ。表題作の他、東北震災後に日本政府が民営化され、海外との関係を拒絶し太平洋大震災によって関東が壊滅する「不死の鳥」も、自然災害・原発問題を抱える日本の近未来の姿かもと思わされる内容だった。
読了日:12月16日 著者:
多和田 葉子
金の言いまつがい (新潮文庫)の
感想「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載、トイレで少しずつ読了。大笑いしなかったが、クスっと笑えた。「銀の言いまつがい」と合わせて購入すると、人生に素晴らしい効果があらわれるらしい。
読了日:12月17日 著者:
ミーツへの道 「街的雑誌」の時代の
感想『ミーツ・リージョナル』編集者による創刊から退社まで。
大阪・京都・神戸、街と人の面白いを濃くて魅力ある人たちが作っていたからこそ、面白い雑誌ができていたのだろう。
後半の親会社の意向による経営者交代による管理体制の強化が対象的。かなり赤裸々に書いてあるのは、本の雑誌連載だからできたことか。お好み焼き特集の文章が秀逸だったなあ。
読了日:12月17日 著者:
江 弘毅
脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出 (新潮新書)の
感想「脳が壊れた」から2年、高次脳機能障害からの回復の過程をユーモア混じりに描く。症状はケースバイケースだろうが、現状を認識し受容することが重要なのは共通しそう。
①諦めを伴う受容 ②障害を認識して見つめ、理解することで、周囲の環境調整に工夫を施し、障害の苦しさを和らげるもの。②の受容は患者自身だけでなく、家族やサポートメンバーも持っておきたい考え方だ。
読了日:12月18日 著者:
鈴木 大介
【第160回 直木賞受賞作】宝島の
感想第160回 直木賞受賞作。1952年代から日本復帰の1972年までの20年の沖縄が舞台、戦果アギヤーの孤児たちが主人公。キャンプ・カネデに忍び込んだ夜に、リーダー・オンちゃん
が失踪してしまう。オンちゃんを追いかけながら、残された3人が警察官・教師とそれぞれの道を歩いていく過程で、米軍抵抗運動・コザ暴動などの史実も踏まえた沖縄の姿が描き出される。エンタメ作品としては冗長とも言える長さ、ノンフィクションとして読みたかった、という熱量があった。
読了日:12月24日 著者:
真藤 順丈