立川志の輔 独演会 2

「柳田格之進」

基は講談のようだ。マクラもなく、本編に突入。

事情があり浪人している柳田格之進が、ある縁で万屋の主人と囲碁をうつようになった。
ある夜囲碁をさしている最中に、番頭が50両と言う大金を主人に渡すのだが、
囲碁が終わってみると50両が無くなっていた。

番頭が柳田を疑い、自分の判断で次の日に柳田宅を訪ね問いただすと、
疑いを掛けられたために、金だけは返すと番頭を追い返す。
当てなどなく腹を切ろうとするが、娘に見抜れた。
娘は武士の娘だ、もし疑いが晴れたら万屋の首を刎ねて欲しいと言い残し、
金を作るために吉原に行く。

翌日、もし元の50両が出てきたら、どうすると問いながら金を番頭に渡す
柳田。番頭は、主人と私の首を差し出します、と約束をする。
50両を差し出された万屋の主人は、番頭の勝手な行動を叱り飛ばし、
柳田の家にお金を返しに向かうが、既にもぬけの殻だった。


時は半年流れ、大晦日近く。
大掃除をしていると、囲碁を打っていた離れの額縁と壁の間から50両が
発見された。便所に立つとき主人がそこにおいたまま忘れていたのだ。
店の者総出で柳田を探すが、中々見つからない。

年が明け、4日の日。お得意周りの最中、小雪のちらつく湯島天神の境内近くの坂道で
番頭は柳田と再会した。江戸留守居役に出世していた柳田。

首を差し出すとの約束は思い出していたが、あの50両が出てきたと番頭が告げると
翌日午後に万屋を訪れるので、首を洗って待っておけと柳田は申し付けた。
事情を聞いた主人は、死ぬのは自分ひとりで結構と、番頭に用事を言いつけ
店から追い出し、柳田を一人待つのだった。

やがて、娘と現れた柳田に、番頭を柳田の元へやったのは自分だと番頭を庇っていた。
そこへ店を離れたはずの番頭が(実は離れておらず)登場し、
悪いのは自分だと告げる。

娘の気持ちにこたえるためにも、刀を振り下ろすも、碁盤を真っ二つにするに
留まった。「互いを思いやる気持ちに手元が狂った」
それを見た娘は、二人を許してあげるのだった。
特にサゲがない話のようだが、人生の白黒が今付いた、という締めで終了。

1時間の長丁場だったが、あっという間。
舞台を見ていたかのようだった。

今チケットが最もとりにくい落語家の一人、753席入る文楽劇場が満員だった。
客の平均年齢は昇太より20歳~30歳は高かった

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