ヴィルヘルム・ハンマースホイ展


東京 国立西洋美術館で開催中のハンマースホイ展を訪れた。

VILHELM HAMMERSHOI (1864-1916) デンマーク出身
17世紀のオランダ絵画の影響を受けているらしく、フェルメールのような
光と影を思わせる室内絵画も見られた。

新聞の紹介記事で初めて見た時に、胸がざわざわとかき乱されたので、
是非とも実物を見ておきたかった。

86点のハンマースホイ作品の内、ストランゲーゼ30番地の家で書かれた
室内の絵が特に心を乱してくれる。

黒のドレスを着た妻のイーダが後ろ向きで描かれることが多いのだが、
イーダは部屋に閉じ込められているのではないかと不安になってしまう。

最初は人の顔が見えないので、不安な気持ちになるのかと思った。
人の表情が見えないと、相手が何を考えているのかがわからない、
敵か味方か判断できないという残された本能が動き出したのかと。

しかし、イーダの兄であるピーダ・イルステズや他の画家の同じモチーフの
絵を見ると同じ気持ちにはならなかった。
白と黒を基調としたトーンと装飾品が極端に少ないということが、
それを助長しているのだろう。

人の生活感を除くことで、絵から物語性を排除することに成功している。
沈黙が漂い、幻想的、そして人肌のぬくもりがない。

いいものを見ることができた。

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