志の輔・談春 祝祭落語会@フェスティバルホール 2


20分の中入後、志の輔が登場。
高座を見るのは、2009年7月以来だ。

「徂徠豆腐」 志の輔

豆腐屋七兵衛が、ある長屋で美味しそうに食べる若者に豆腐を売るが、
金がなく無銭飲食される。

聞けば学者を目指して食べるよりも本を読む毎日の若者、
施しは受けたくないという意も汲んで、その日からおからを届ける七兵衛。

ところが病気で寝込んで数日訪問できなかった。
回復して長屋に飛んで行ったが、引っ越しして、どこに行ったかわからなかった。

その後、七兵衛の豆腐は評判が評判を呼び、
上野増上寺の近くに店を出し、売れっ子の豆腐屋となった。

好事魔多し。

大火事によって、店は全焼し、知り合いの長屋に夫婦で転がり込むのが
精いっぱいだった。

この先どうやって暮らそう、途方に暮れる二人に、見知らぬ見舞客が
10両をもって現われ、そのお金で1年間を暮らすことができた。

1年後に、あの学者を目指していた若者がやってきた。
10両を出したのもこの人間。豆腐屋も建て直し、もう一度豆腐を作って欲しいと言う。

この男は、赤穂浪士を善とする世論と討ち入り処分の板挟みの状況下、
赤穂浪士に切腹をさせ、幕府と赤穂浪士のメンツを守った荻生徂徠だった。

この男が荻生徂徠ということに、ガッテンして頂けましたでしょうか、
と志の輔 鉄板ネタが入った。
今までの独演会では、マクラで聞くことが多かったのだが、この日は噺の終盤に。

新しい豆腐屋で作った豆腐を売りに行く前に、徂徠に食べてもらおうと
お屋敷を訪れる。

この座敷での七兵衛と徂徠のやり取りが、温かい。
七兵衛も徂徠も見返りを期待した行動ではなかったが、
結果、情けは人の為ならず、互いが互いを思いやる気持ちが心に沁みます。

こちら志の輔もさすが、笑わせ・笑わせ・最後にほろり。
めっちゃ豆腐食べたい(笑)


いったん幕が降りるも、なり続く拍手の中、もう一度二人で登場。

談春は照明を暗くしすぎて、何も見えない真っ暗闇の中で落語をしたそうだ。

家元が見ていたら、俺の方がうまくやる、と言うだろうなあ、と
談志の弟子ならではのコメント。
二人ともやりきった感がにじみ出ていた。

最後は三本締めでお開き。

チケットは6列目だったが、オーケストラピットを塞いでおり、
実質1列目、しかもど真ん中。
この雰囲気の中に身を置けたのが、幸せだった。

機会があれば、フェスで談春の「慶安太平記」をやって欲しいなあ。
絶対にハマるはず。

http://hynkapi.blogspot.jp/2012/04/20124.html

http://hynkapi.blogspot.jp/2012/04/20124_28.html


2008年12月25日と言えば、春風亭昇太を聞きに行っており、
昇太自身から、どうしてこっちに来たんだ、と言われ、
ハンカチまでもらったのだった(笑)

http://hynkapi.blogspot.jp/2008/12/vol11.html


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